Blenderがちょっとできるようになる方法

Blenderがちょっとできるようになる方法

こんにちは、SUZURIでデザイナーをしているモハゑと申します。そしてこれは、SUZURIのアドベントカレンダー2021の、8日目の記事です。

2021年は、「何回も挫折した Blender」が「ちょっとできるようになった」年でした。よって今回は、「その過程でどんなことをしたか」というのを紹介していきたいと思います!

実は、挫折した方法についても紹介しようと思っていていたのですが、書いてみたら記事が長くなりすぎてしまったので、別の機会にまた紹介できればと思います。

ちなみに、こちらが第2次挫折認定直前の「灰になった感じがするドーナツ」です。

Blenderがちょっとできるようになるまでの過程

では、そろそろ本題に入りますね。

今回ご紹介する「Blenderがちょっとできるようになるまでの過程」は、以下のとおりです!

それでは順番に詳しく説明していきます。

①単純な形状のものをまず完成させて、操作に慣れる。

冒頭で少し触れましたが、わたしはこれまで「技術本」や「みんながつくってるドーナツ」など、複数回 Blender に挑戦してみては挫折を繰り返してきました。それらに共通する原因は、「与えられた教材を作り込むということにモチベーションが沸かない」だったように思います。

なので今度は、まず「自分がつくりたいモノに応用できそうな基本的でかんたんな教材」を探してみることから始めました。

「このくらいの時間でできる教材なら、自分がつくりたいもののために耐えられそう!」と思えるか否かがポイントのような気がします。そうして選んだのがこちらの「コーン」です。

ちなみにこちらのクリエイターさんは、同僚のつばさくんのツイートで知りました。大感謝!

動画のつくりが素晴らしいので、観ているだけで「ふむふむ、完全に理解した!」となってしまうのですが、実際に手を動かすと、やはり思っても見なかったところでつっかえたり、わからなくなったりして、ところどころ何度も繰り返して確認することになりました。以下が、めでたく完成したものです。

全然できなかったBlenderがちょっとできるようになった方法

「目が覚めたら倉庫に監禁されていた時のコーン」でしょうか。ちっちゃくてかわいいです。

②覚えた機能を使って好きなものをつくってみる

①で「基本的な機能をつかったコーン」をつくり終えたことで、晴れて、それらの機能を応用して「自分のすきなモノ」を作れるようになりました。その日のわたしの喜びのツイートがこちらです。

基本を知っているから応用ができる、という当たり前のことに、改めて気付かされた日でした。

③自分がつくりたいモノに近い教材を探してつくってみる

②で「謎の生首うさぎ3匹」をつくれるようになりましたが、これらは「単純な図形」を組み合わせただけのものです。わたしは「キャラクターっぽいもの」を作りたかったので、もっと有機的?な形をつくる動画を探しました。選んだのがこちらです。

途中までは教材通りのキャラクターを作ってたのですが、ある程度できたところで、やはり「ところで、このキャラクターはどなた?」という気持ちになってしまい、そこからは、動画に沿って機能を学びつつ、形はオリジナルにして作っていきました。そうして出来上がったのがこちらです。

自分が作りたいモノをつくっていると、「もっとこうしたい」「こうするにはどういう機能を使えばいいんだ?」という気持ちが湧いてくるので、その度にちょっと調べたりなどして、ちょっとずつでいることが増えていきました。

④自分が作りたいものを1から作ってみる

「キャラクターっぽいもの」の作り方を習得したので、次は、「家にあった手のひらサイズのフィギュア」を観察しながら、1からモデルをつくってみることにしました。

Blenderがちょっとできるようになる方法

「本物の立体物を観察しながらつくる」というのは、とても良い方法だったように思います。そして完成したものがこちらです。

全然出来なかったBlenderがちょっとできるようになった方法

かわいい。好きなものをつくれるってこんなに幸せな気持ちなのかよ。

そしてさらに、データを合体させる練習も兼ねて、前回つくったモノとコラボさせみました。

⑤新しい機能を使わざるを得ないものを作ってみる(毛編)

これまでは「ツルッとしたもの」しか作ってなかったので、次はもっと「テクスチャ感があるもの」を作ってみたくなりました。そこで選んだのが「ぬいぐるみ」です。家に手頃なものがあったので、これを見ながら作ってみることにしました。

Blenderがちょっとできるようになる方法

Blender ぬいぐるみ」とかで調べると結構たくさんの記事が出てくるのですが、わたしの場合は「概念としてのぬいぐるみ」ではなく「今ここにあるぬいぐるみ」を再現して作りたかったので、どの記事を見ても「この毛じゃない!」「この繊維感じゃない!」という感じになってしまいました。あんなにも「ぬいぐるみの毛」について観察し考えたのは、人生で初めてです。

結局、ベストな毛記事・毛動画は見つからなかったので、毛検索の過程で得た毛知識を元に、毛機能を自分なりにいじって毛探りでつくってみることにしました。

が、結局は納得行く毛を表現するには力及ばず...。

ただひとつわかったことは、「毛機能つかうとめちゃPC重くなる」ということです。

さて、このように改めて振り返ってみると、なんと「コーン・3匹の生首」から「毛」まで4日しか経っていないのです!これまで全然できなかったのに!すごい!自分で自分を褒めちゃう!

「ステイホームのゴールデンウィーク × 勢い」というのはすごい、ということがわかった貴重な体験でした。(尚、この後まったく Blender を触らなくなり、一度すべてを忘れます。)

⑥新しい機能を使わざるを得ないものを作ってみる(アニメーション編)

Blender の記憶が随分と遠のいたころ、仕事で Blender を使う機会が訪れました。今回の新たなトライは「アニメーション」です。

「やりましょう!」と言ったものの、どうやってモデルを動かすのか全く検討もつかなかったので、まずはひたすら検索して調べました。参考にした動画をいくつか貼っておきます。

「検索ワードもわからない」状態から、「この機能を使えばやりたいことができる」になるまで時間はかかりますが、「これをやりたい」という気持ち(と締切)があれば人間はがんばれるようです。そうして出来上がったのがこちらです。

全然出来なかったBlenderがちょっと

ちょうちんオバケが憎たらしいくらい難しかったです。

おまけ:Blender で動くバナーを作るときの大変ポイント

最後に、「Blender をつかってバナーを作る場合の注意点」的なものを紹介して終わりにしたいと思います。

今回、初めての3Dアニメーションバナーの試みだった、というのに加えて、まだ見ぬ機能を調べるところから始める必要があったので、ある程度大変なのはわかっていたのですが、いざ取りかかってみると、予想以上に「やだ!大変じゃん!」となりました。以下が「やだ!大変じゃん!」となったことです。

  1. Blenderだけで完結させられない
  2. サイズ展開させる場合に動きの位置も設定し直さないといけない
  3. もっとあった気がするけど忘れた

1に関して、これはやってみて初めてわかった「良い気付き」だったのですが、それは、「バナーに掲載する情報をすべてBlender で作ると、大切な情報が目立ちにくくなってしまう」ということです。

Blender ではテキストも挿入できるので、機能的に言えばバナーのすべてを Blender で完結させることが可能です。

でも、そもそもBlenderは「3D空間をつくるもの」なので、そこに配置した要素それぞれが、すべていい感じに「同じ空気感の中で馴染んでしまう」のです。(例えば、白色のタイトル字も、モデルとして3D空間の中に置くと、背景色の反射光や陰影の関係でベージュっぽい優しい見え方をしてしまう。)

そうすると、セール名や値引き額、期間などの「重要な情報」が目に飛び込んでこなくなってしまいます。これは「情報を伝えるためのバナー」にとって、非常に重大な問題です。

よって結果的には、Blender では「賑やかしたち」のみを書き出すようにして、主要な情報は After Effects を使って後から平面画像として入れることにしました。

Blenderがちょっとできるようになる方法

Blenderがちょっとできるようになる方法

他にも、gifアニメにするためには結局 Photoshop を使うし、データを軽くするための工夫も必要だし、mp4ってどうやって書き出すんだっけ...など、やることも考えることも調べることも、想定よりもたくさん発生しました。

2の「サイズ展開が大変」に関しては、ただバナー比率に対して要素の位置を動かすだけではなく、モデルにモーションをつける時に与えた「位置」情報をいちいち与え直さなくてはいけない、それが億劫だった、ということです。

例えば「回転」なら、それはオブジェクト自体に基づいたモーション情報なので、オブジェクトの位置を変えるだけで意図通りの動きをするのですが、一方「位置」は、特定の3D空間の座標に対して与える情報なので、別サイズ(別3D空間)を作成する度に、そのサイズの中でベストな位置情報を与え直さなければならないのです。

さらには、Blender で作って書き出し・After Effects で追加情報を入れて書き出し・Photoshopでgifアニメーション書き出し、もそれぞれ行わなければいけないので「(泣)」です。

説明が長くなりましたが、要するに、「Blender のアニメーションバナーのサイズ展開は異常に面倒くさいし時間もかかるよ」ということです。(疲れてきたので説明が雑に!)

まとめ

とっても長い記事になってしまいましたが、わたしが伝えたいことは以下の2点です。

  • 基礎を知っているから応用ができる
  • つくりたいモノをつくってる時がいちばんモチベーション上がる
  • Blenderはとても楽しい

わたしと同じように Blender に挫折したかた、やってみたいけど躊躇しているかた、などたくさんいらっしゃると思うので、この記事がそんな人々の参考になれば嬉しいです。以上です!

 

さて次回は、SUZURIディレクターのかれんちゃんです!今年はどんなプレイリストができあがるのかな??とっても楽しみです。

ではでは、ハッピーホリデ〜ズ!